パッシングディミニッシュとはなんでしょうか。
その答えはこの曲をマスターすればわかります。音楽歴25年の筆者が、絢香さんの「にじいろ」のコード分析をしました。
この曲を弾けるようになりたいけどコードが分からない…ネットで検索して見つかるコード譜では原曲と違う気がする…
こんなふうに感じている方は、当記事で「にじいろ」を練習すれば、より深く曲を理解でき、かつ原曲のイメージをそのままにカバーできるようになります。
YouTubeチャンネルに解説動画がありますので参考にしてみてください。
スポンサーリンク
目次
イントロ
イントロのコード進行
- G | D/G | C/G | G | D/G | C/G | Cm/G
- G | D/G | C/G | G | D/G | C/G | Cm/G
イントロのポイント
イントロではずっとベースがGのオンコードが続きます。
ちなみにこのように/が入ったり(D on Gという風に表記する場合もあります)するコードを「分数コード」や「オンコード」という言い方をします。
カノン進行をアレンジして1音ずつ下がっていくコード進行にしたい時などに頻繁に出てきます。
押さえること自体は簡単ですから、分数コードにアレルギーを持たず挑戦してほしいと思います。
それから夜空ノムコウでも説明しましたが、コードを弾きながらメロディーも弾く場合は、まずコードの形を把握して押さえて、小指や余った指を使ってメロディーを探していきましょう。
TAB譜とにらめっこしてはダメですよ。
サビ1
サビ1のコード進行
- G | D/F# | Em | G/D | C | G/B | Am7 | Dsus4 | D
- G | D/F# | Em | G/D | C | D | G | D/F#
サビ1のポイント
”サビ1”という表記にしました。この曲は厄介なことに、毎回微妙にサビのコード進行が変わります。
全部同じでもいいのですが、曲にストーリーがある以上、サビだからと言って毎回同じ心情や境遇ではないわけで、コードも変わらざるを得ないのでしょうね。
覚えるのは大変ですが、曲の良さをより引き出すためには、ここが踏ん張りどころですよ。
ベースラインに着目すると、G→F#→E→D→C→B→Aというように、徐々に下がっていく進行になっています。
指弾きでギターを弾く場合、親指でベースを弾きますが、コードを鳴らしながら常にベースラインを意識することが重要です。
スポンサーリンク
Aメロ1
Aメロ1のコード進行
- Em | D | C | D | G | D/F# | Em | Em7/D | C | D | G | D/F#
- Em | Em7/D | C | D | D/F# | Em | Em7/D | C#m7(b5) | D
Aメロ1のポイント
赤線で区切ったところでコードが1巡するのですが、2巡目以降の2番目のコードが、1巡目と違いますね。
青字で表記している部分です。1巡目はDだったのに、なぜ2巡目以降はEm7/Dにしているのでしょうか。
それは歌詞の内容によるためです。1巡目は”まぶしい笑顔”という歌詞にここが当たりますので、笑顔にマイナーコードの響きはマッチしませんね。
2巡目は”悲しい音”という歌詞に当たります。
まぶしさの中にほんの少し含まれる悲しみを表現するために、Em7(完全にマイナーではないところがミソ)の響きを入れたのでしょう。
このように、同じようなコード進行でも内容によって微妙に変えるところが、プロの作曲家たる所以なのでしょうなあ〜。いやー素晴らしい。
サビ2
サビ2のコード進行
- G | D/F# | Em | G/D | C | G/B | Am7 | Dsus4 | D
- G | D | D#dim | Em | Em7/D | C | D | G
サビ2のポイント
サビ2です。ここでいよいよ出てきました、今回の本題「パッシングディミニッシュ」。
通常であれば、D→Emと行くのですが、D#dimを経由してEmに行っていますね。このようなディミニッシュの使い方をパッシングディミニッシュと言います。
前回の鱗でも少し触れました。弾き語りギター解説!秦基博「鱗」は究極の省エネ奏法だった!?
2巡目に同じ進行では芸がないのでこの進行にする、という理由で使ってもいいですし、だんだん盛り上がるところだから、という理由で使ってもいいでしょう。
この曲では、”ひとつひとつがあなたになる”というふかああああああいメッセージを届けるために、この注意を引くコード進行を使ったのだと思います。
現状何やってもうまく行かないとか、そんな状態にある方もいらっしゃるでしょう。
その原因のほとんどは、ここ数年の過ごし方にあります。その結果が”現状”なのです。
かくいう私も、24で会社に入ってから4,5年の間、ほんとーにもう何をやってもダメでした。ダメすぎて怒られすぎて適応障害になったほどでした。
仕事もできない、人間関係もうまく構築できない、生活力もない、趣味をやっても何も結果が出ないなどなど、思い出したくもないような期間です。
その原因は大学6年間の過ごし方にあったのです。とにかくひたすら苦しいことを避け学ばず遊ぶだけ。
生産せず浪費だけをし、社会に出ることから目を背け続けた6年間でした。その結果が、何をやってもダメな4,5年間として帰ってきたのです。
社会で生きる能力を何ひとつ磨いてこなかった。そのすべてが、ひとつひとつが、私になっていたのです。
そしてその4,5年間苦しみ悩み考え行動し続けた結果、今では会社の仕事もうまくいき、趣味のレベルも1段あがりYoutubeやブログで情報発信ができている充実した毎日につながっています。
それも、そのひとつひとつが、私になっています。
あるいはここ最近頑張りすぎて、体調を崩しておられる方もいらっしゃるでしょう。
そんな時は、好きなものを食べ、好きなだけ寝て、朝日を浴びて、のんびり過ごしましょう。
休んだその先に、また楽しいことや嬉しいことが待っているはずです。焦らず、確実に進んでいきましょう。
状況は違うとは思いますが、絢香さんもそのようなことを伝えたかったのではないでしょうか。
その思いをパッシングディミニッシュに乗せて、我々に届けてくれているのだと思います。
長々と脱線しましたが、続いてBメロ行きます。
スポンサーリンク
Bメロ
Bメロのコード進行
- Em | C | D | G
- Em7 | CM7 | D | G
Bメロのポイント
ここではギターのリズムも打って変わって、森の中にいるような、ゆったりした雰囲気になっています。
後半の”光が”の部分では8分音符でリズムを刻むことで、光が降り注ぐ様子を表現しましょう。(YoutubeやInstagramの私の演奏を参照してください)
間奏
間奏のコード進行
- G | D/F# | Em | G/D | C | G/B | Am7 | D | D#dim
- Em | D#dim | D | G | C | G | G#dim | Am7 | D | G | F#dim(11)
間奏のポイント
はい、間奏は遊び心満載の、パッシングディミニッシュ祭りですね。
D→D#dim→Emと行ったと思ったら、Em→D#dim→Dと戻ってきて、またまたG→G#dim→Am7というように、ディミニッシュ経由しまくりやねーん!
ここが一番演奏するのが難しいです。歌はないので、ギターの演奏に集中して、この経由しまくりベースラインを上手に弾けるようになるまで練習あるのみです。
大丈夫です、頑張れば絶対できます。超絶技巧ではありません。手に頭に動きを覚え込ませましょう。
それから最後のF#dim(11)。これは間奏が終わって、次のAメロに行きますよ、と言ういわゆる”キメ”のコードになりますので、しっかりここでキメてくださいね。
スポンサーリンク
Aメロ2
Aメロ2のコード進行
- Em | D | C | D | G | D/F# | Em | Em7/D | C | D | G | D/F#
- Em | Em7/D | C | D | D/F# | Em | Em7/D | C#m7(b5) | D7 | Em7(b5) | Fdim | D/F#
Aメロ2のポイント
Aメロの2回目は、最後のサビへの繋ぎの部分だけが1回目と異なります。
そしてここでもパッシングディミニッシュ。この記事で何回パッシングディミニッシュって言うとるねん。
Em7(b5)→Fdim→D/F#のところですね。ここでは先に述べたこれから盛り上がっていくよー!って使い方ですね。
サビ3
サビ3のコード進行
- G | D/F# | Em | G/D | C | G/B | Am7 | Dsus4 | D
- G | D | D#dim | Em | Em7/D | C | Am7/D | Cadd9 | G/B | Am7
サビ3のポイント
サビ3回目です。後半のエンディングにつながる進行がサビ2と異なりますので注意してください。ベースラインが下降しています。
エンディング
エンディングのコード進行
- G | D/F# | Em | G/D | C | G/B | Dsus4 | D
- G | D | D#dim | Em | Dm7 | G7 | C | D | G
- G | D/F# | Em7 | GM7/D | C | G/B | Am7 | D | D#dim
- Em7 | Em7/D | CM7 | G | Am7 | D | G
エンディングのポイント
はい、サビ4回目5回目と言ってもいいですね。見事に全部で進行が微妙に違います。作り込みが半端ないですね。
エンディングの最後の、にじいろの風ふりそそけば、のところのCM7がとても美しいと個人的に感じるので、ここはぜひCではなく、CM7で演奏してみてください。
おわりに
お疲れ様でした。この曲のようにAメロごと、サビごとに進行が変わるような曲は、なかなか覚えにくいですよね。こう言う時こそ、楽譜が必要なのです。
著作権の都合上、私が作った楽譜を配布することはできません。皆さんも自分で楽譜を作成することに挑戦してみてはいかがでしょうか。
コードをメモするだけでも、手を動かすと必ず何か気づきを得ることができます。曲の理解も深まるし、コード進行の違いや意味に気付けるようになり、音楽力がかなり向上すると思います。
私も、とあるプロの作曲家兼演奏家の方から、「上達したければ楽譜を書くといいよ」と言うありがたいアドバイスを頂き、それを実行することでスランプを打破できた経験があります。
では、最後まで読んでいだだきありがとうございました。