懐メロも懐メロだと思いますが、1980年代を代表するJPOPの最高傑作の1つと言ってもいいでしょう!
安全地帯の「ワインレッドの心」。マイナーコードのもつ魅力を最大限に活かした「奇曲」とも言えるコードの使い方、玉置浩二さんの20代とは思えぬオトナなボーカル、泣きのギターイントロなどなど…。
言葉にしがたい魅力をなんとか文章にしてみましたのでよろしくお願いします。
YouTubeチャンネルに解説動画がありますので参考にしてみてください。
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目次
イントロ
イントロのコード進行
- Em | C6 | Em | C(♭5,6,M7)
- Em | C6 | Em | C(♭5,6,M7)
イントロのポイント
Emから始まりました。この曲は当ブログ開設以来初の、「短調」の曲になります。暗い曲調ということですね。わかりやすいようにCで説明します。
普通に鍵盤で「ドレミファソラシド」と弾くと、明るい音階である長音階(メジャースケール)です。Cメジャースケールと言います。
ではその音階を「ラ」から始めてみましょう。「ラシドレミファソラ」と弾くと、Am、つまり暗い短音階(マイナースケール)になります。Aマイナースケールと言います。
このように、メジャースケールとマイナースケールは、実は同じ音階の中の始まる音を変えるだけで、明るく聞こえたり暗く聞こえたりするのです。表裏一体の関係なのですね。
「C6」コードですが、原曲を聴くとベースの音が動いています。一応その動きの最初の音がCでしたのでC6としていますが、Am/Eでも間違っていないと思います。
ただ他のコード譜のサイトに載っているCM7ではないと感じました。明るい成分を含んでいないし、エレキギターもM7の音を弾いていないように聞こえましたので、C6としておきます。
それよりも最後のC(♭5,6,M7)ですね。もうなんのコードが分からなかったので、とりあえずベース音とテンションの音を記載したコードネームとしました笑。
妖艶な響きですよね…。玉置さんの脳内ではどんなイメージがなされているのでしょうか。
Aメロ
Aメロのコード進行
- Em | Am/E | Em | C(♭5,6,M7)
- Em | Am/E | Em | C(♭5,6,M7)
Aメロのポイント
イントロとほぼ同じ進行です。ダークでありながら、妖しい色気のようなものを感じますね。
ちなみにこの「もっと勝手に」のメロディーですが、「かあさんが夜鍋をして」から取ったそうです笑。
あの平和な童謡からこんな妖艶な曲が生まれるのですから、コード進行って本当に面白いですよね。
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Bメロ
Bメロのコード進行
- Em | Dm6(9) | CM7 | Bm7
- CM7 | Am7 | B7sus4 | B7
Bメロのポイント
ここではDm6(9)に着目してみましょう。EmからDm系のコードに行っていますね。
通常のコードの使い方だとここはDメジャー系のコードを使いますが、マイナーでかつ6と9というテンションが入ってすごく複雑な響きになっています。
いっそのこと全てを忘れてこの恋に身を委ねてしまおうか、と葛藤する様子を表現しているのでしょうか。背徳感も含まれているような、オトナな恋愛の様子が伺えます。
その後もCM7からBm7に行った後、またCM7に戻ります。やっぱり迷っている様子を表現しているようです。
そしてようやくわかりやすいB7sus4→B7という進行になりました。
忘れてしまえば…!と誘惑に負けてしまったようですね。
サビ前によく使われるsus4で曲も見事につながります。
sus4については「ひまわりの約束」でも解説しておりますので参考にしてください。秦基博「ひまわりの約束」ギター弾き語りコード解説!”ナベアツ唱法”でハイトーンを攻略しよう!
サビ
サビのコード進行
- Em | D6 | Am7 | Am | C6 | B7 | Em | B7
- Em | D6 | Am7 | Am | C6 | B7 | Em | Am7 | Bm7 | E
サビのポイント
曲を通して、6のコードがよく出てきますね。この6番目の音がもつ特徴ってなんなのか、考えてみました。Cを例にとってみましょう。
普通のCに比べるとC6はちょっと気怠げな、アンニュイな響きがありますね。
それから恋に溺れているような、夢の中をまどろんでいるような、現実離れした浮遊感みたいなものを感じます。
男性の魅力の虜になってしまった女性のような。
それがこの曲全体を覆っている、なんとも言えない現実感のない妖艶さを醸し出しているのではないでしょうか。
玉置浩二さんのミステリアスな表情と相まって、吸い込まれるような魅力があるのだと感じました。
以上で解説を終わります。どうもありがとうございました。